ビタミンはビタ(vita:命・活力)とアミン(amine:窒素化合物)からつくられた言葉です。生命維持に大切なもの、という思いが込められたネーミングですね。私達が生きるために絶対必要な栄養素ですので、不足すると欠乏症やさまざまなトラブルが起こります。病気にいたらなくても、最近疲れやすい、とか肌の調子が悪いなどもビタミン不足の可能性も考えられます。病気予防やアンチエイジングにもビタミン摂取が役に立つという研究もされています。化粧品で使われる成分「レチノール」はビタミンAの一種です。食品ではなく外から塗るほうですね。
ビタミンの欠乏症として昔からよく知られるのがいわゆる鳥目(とりめ)、「夜盲症」です。薄暗いところでものが見えにくくなります。これはビタミンAの不足や欠乏が原因で、ビタミンAが視覚機能に重要な働きをしているためです。また、皮膚や粘膜を正常に保つのにも重要で、美肌づくりやアトピー性皮膚炎の治療にも注目されています。肌がガサガサになる風邪をひきやすいなどの症状もビタミンA不足かもしれません。
ビタミンAは身近なところでは、ニンジンなどの緑黄色野菜や卵黄に含まれています。他に多く含む食品は豚・鶏・魚のレバー、うなぎのかば焼き、モロヘイヤなどです。
一般的な食事ではまず心配はありませんが、脂溶性ビタミン(ADEK)には過剰症があります。ビタミンAが過剰になると頭痛が起こり、脱毛や筋肉痛になる場合も。イシナギというハタ科の魚の肝臓にはビタミンAが大量に含まれ、肝臓は食用禁止になっています。ちなみにホッキョクグマの肝臓にも大量に含まれ現地に住むイヌイットの人々はホッキョクグマの肝臓は決して食べないそうです。
参考:
自然毒のリスクプロファイル:魚類:ビタミンA|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
『栄養素の通になる 第5版』上西 一弘著(女子栄養大学出版部)
-------------------
豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック