寒い季節になると、心筋梗塞(しんきんこうそく)を発症する方が増えることをご存じでしょうか。特に 1月・2月の冷え込んだ朝は、一年の中でも心臓のトラブルが起きやすい時期です。
冬は体調を崩しやすいだけでなく、心臓や血管への負担が増える季節です。今日は、心筋梗塞が冬に増える理由と、日常でできる予防についてお伝えします。
冬に心筋梗塞が増える理由
寒さにより、体は次の変化を起こします。
- 血管が収縮する
- 血圧が上がる
- 血液が固まりやすくなる
- 心臓への負担が増える
特に 暖かい部屋 → 冷たい浴室・玄関・トイレへの移動の際、急激に血圧が変化し、心筋梗塞や脳梗塞につながることがあります。
● これを ヒートショック と呼び、高齢者では特に注意が必要です。
心筋梗塞の主な症状
次の症状がある場合、受診をためらわず早めに相談しましょう。
- 胸が締め付けられるような痛み
- 胸の中心が重い、押されるような感覚
- 左肩・腕・背中・あごに痛みが広がる
- 息苦しさ、冷や汗、吐き気
- 安静にしても続く胸の違和感
「様子を見よう」は危険です。
リスクが高い方
以下に当てはまる方は冬季特に注意が必要です。
- 高血圧
- 糖尿病
- 高コレステロール・脂質異常症
- 喫煙者
- 肥満ぎみ
- 運動不足
- ご家族に心疾患歴がある
自覚症状がなくても、動脈硬化は気付かないうちに進むため、定期検査が安心につながります。
予防に役立つお茶・飲み物
日常の中で体を温め、血管や血液の状態を整える飲み物をご紹介します。
〇しょうが紅茶
- 体を内側から温める作用
- 朝に飲むと血圧の急上昇がやわらぐことも
〇 黒豆茶
- アントシアニンが血管の健康をサポート
- むくみや冷えにも良いとされています
〇 玉ねぎ皮茶(オニオンティー)
- 血液をさらさらにする成分「ケルセチン」が豊富
- 高血圧・脂質異常症が気になる方に
〇ルイボスティー
- 抗酸化作用があり、血管老化の予防に良いとされています
→ 無理にたくさん飲む必要はなく、1日1〜2杯で続けることが大切です。
冬の健康維持に役立つおすすめ漢方
漢方は体質に合わせて選ぶことで効果が期待できます。心血管の負担が増える冬に用いられる代表的なものをご紹介します。
① 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 血液の滞りを改善
- 冷え症・肩こり・のぼせがあるタイプに
② 四物湯(しもつとう)
- 血液を補い、巡りをよくする作用
- 冷えや貧血傾向のある方に
③ 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- 冷え、むくみ、排尿トラブル、足腰の弱りがある方
- 高齢者に使われることが多い処方
④ 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
- むくみや体の重だるさ、水分代謝が悪い体質に
- 肥満傾向のある方にも用いられます
● 漢方は体質に合わないと効果が出にくいだけでなく、副作用が出ることもあります。自己判断での服用は避けましょう。
冬の健康のために今日からできること
● 部屋の温度差を少なくする
● 起床後すぐの無理な動作を避ける
● こまめな血圧測定
● こまめな水分補給(温かい飲み物◎)
● 食生活・運動・睡眠の見直し
何より大切なのは、体を冷やさないこと・無理をしないことです。
まとめ
冬は心臓に負担がかかりやすい季節です。
ちょっとした心がけで、心筋梗塞のリスクを減らすことができます。
「最近息切れが前より増えた」
「胸が重たい、変な感じが続く」
そんなときは、遠慮せず早めにご相談ください。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科
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