近年の研究で、食物繊維の少ない食事をしていると、腸管粘液を食べる細菌が増えて、腸管免疫のバリアの働きが障害されることがわかりました。
さらに、食物繊維が豊富に含まれる食事をとっていると腸の炎症は軽減し、インフルエンザウイルスに感染に対して抵抗性を獲得するという研究も発表されています。高食物繊維の食事によって、短鎖脂肪酸産生が増加し、骨髄や免疫機能に影響を与えてその結果、インフルエンザウイルスの感染から保護することが報告されています。
免疫力アップの食材ベスト5として、小松菜、ブロッコリー、マイタケ、納豆、かぼちゃなどが挙げられています。食物繊維に加えてビタミンやカロテノイドなどが有効のようです。
また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患では、酪酸を作る腸内細菌が少ないことが報告されています。
このように、食物繊維を十分に摂取し、腸管内の善玉菌(酪酸産生菌など)を増やすことで、腸の粘膜の炎症をおさえ、粘膜の状態を良くし、免疫力を高めることが期待されます。
参考:内藤裕二「すべての臨床医が知っておきたい腸内細菌
基礎知識から疾患研究、治療まで」(羊土社)
-------------------
豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック