〜寒い季節でも油断しないで!〜
冬は気温が下がるため、「食中毒は夏のもの」と思われがちですが、実は冬にも注意が必要です。特にノロウイルスを中心とした食中毒は、寒い時期にピークを迎えます。
◆ 冬に多い食中毒の原因とは?
● ノロウイルス
冬の食中毒の約7割を占めると言われるのがノロウイルスです。
感染力が非常に強く、カキなどの二枚貝を生や加熱不十分で食べた場合や、感染者の手を介して食品にウイルスが付着することで感染します。
症状は、突然の嘔吐・下痢・発熱・腹痛など。多くは1〜2日で回復しますが、高齢者や乳幼児では脱水を起こしやすく注意が必要です。
● 黄色ブドウ球菌やウェルシュ菌
おにぎりや煮込み料理など、手で触れる機会の多い食品から発生することがあります。
調理後の長時間の常温放置が原因となるため、作り置きは早めに冷蔵庫へ入れましょう。
◆ 予防のポイント
① 手洗いの徹底
調理前・食事前・トイレ後・オムツ交換後には、石けんで20秒以上しっかり手を洗いましょう。
アルコールではノロウイルスは不活化しにくいため、流水と石けんが基本です。
② 加熱はしっかり
カキなどの二枚貝は中心温度85〜90℃で90秒以上の加熱が目安です。
鍋料理や炊き込みご飯も、温度ムラがないよう十分に火を通しましょう。
③ 調理器具の消毒
まな板・包丁・ふきんは熱湯や塩素系漂白剤で消毒。
特に生の魚介類を扱った後は念入りに洗いましょう。
④ 嘔吐・下痢の処理は慎重に
家庭内で嘔吐や下痢があった場合、乾燥したウイルスが空気中に飛び散ることがあります。
ペーパータオルで拭き取り、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を薄めたもの)でしっかり消毒しましょう。
◆ 万が一、症状が出たら
嘔吐・下痢が強いときは、無理に食事をせず水分補給を少しずつ行いましょう。ゼリーなどの流動食による糖分・水分補給もおすすめです。
症状が強い場合は、受診をおすすめします。特に高齢者や子ども、持病のある方では脱水が重症化することがあるため、早めの受診をおすすめします。
◆ まとめ
冬の食中毒は、「冷たい時期だから安心」と油断しているところに忍び寄ります。
ノロウイルスを中心に、手洗い・加熱・消毒を徹底することで多くは防ぐことができます。
ご家庭でも職場でも、日々の小さな衛生習慣を大切にしていきましょう。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科
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