健康・医学

脂肪肝の正式名称~非アルコール性に“飲んだくれ”は不適切?

肝臓に異常な量の脂肪がたまる脂肪肝が、危険な状態であることは、以前紹介しました。メタボリックシンドロームや糖尿病などと関連が深く、肝硬変や肝がんに進行するリスクも高まります。脂肪肝の中には、アルコールの摂りすぎがなくても肝臓に脂肪がたまるタイプの多く非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLDナッフルド)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASHナッシュ)と呼ばれています。昨年、欧米の肝臓学会がNAFLDやNASHの名称を変更しました。英語名に含まれるalcoholic 「アルコーホリック 飲んだくれ」やfatty「太っている ふとっちょ」が患者さんへの偏見につながる不適切用語と見なされるからとのことです。印象が悪いイメージを抱きがちの言葉かもしれませんね。新名称は、NAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更となりました。日本でも日本消化器病学会や日本肝臓学会によって名称変更が決まりました。「MA」はメタボリック(代謝)の異常に関連した、ということですので日本語での新しい名称は「代謝機能障害関連」とのことです。そこで、MASLDは代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、MASHは代謝機能障害関連脂肪肝炎という長ったらしい名称となります。

脂肪肝は、単に肝臓の問題ではなく、体の全体的な代謝疾患の一部と考える必要がある、と以前も書かせていただきましたが、脂肪肝も食生活や適度な運動、必要な場合は薬物治療で、からだ全体の日々の健康づくりが大切ですね。

名称変更といえば

病気の名称変更に関しては、NASH→MASHは一般の方にはほぼ無関係と思われますが、最近は「糖尿病」の名称変更案がでてきています。排泄物がつく名前は印象がよくなく、またこれまで糖尿病というと、食べ過ぎや自堕落、節制できないなど不名誉な烙印をおされてしまうこと(スティグマといいます)がありがちでした。1型糖尿病のように自己免疫やウイルス感染で起こるものや、生活習慣が影響する2型においても遺伝的体質的な要因も多い事がわかってきました。診断の否定や病気を隠す患者さんもいらっしゃいます。そのため「ディアベッツ」(英語の糖尿病)が提案されましたが、医療関係者の中でも不評なようで、なかなか難しい問題ですね。

これまで病名や呼び名が変更されたものに 精神分裂症→統合失調症 痴呆症→認知症などがあります。最近はサル痘が、エムポックスと変更されました。エムはmonkeyのm、だそうで、意味としては近いですが…サルのイメージダウンが理由でしょうか?

参考資料

Rinella ME, et al. A multi-society Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature.
J Hepatol 2023 June 20; DOI: https://doi.org/10.1016/j.jhep.2023.06.003

the American Association for the Study of Liver Diseases (AASLD):Multinational Liver Societies Announce New “Fatty” Liver Disease Nomenclature That Is Affirmative And Non-Stigmatizing

日本肝臓学会からのお知らせ

-------------------

豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック

関連記事