健康・医学

慢性腎臓病(CKD)①~慢性腎臓病(CKD)とは?

慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)は、腎臓の機能が長期間にわたって徐々に低下していく病気です。腎臓は血液から老廃物をろ過し、体外に排出する役割を果たしていますが、腎臓病(CKD)ではその機能が損なわれ、老廃物や余分な水分が体内に蓄積していきます。腎臓病(CKD)は進行性であり、治療が行われないと腎不全(末期腎不全)に至り、最終的には透析や腎移植が必要になることがあります。

慢性腎臓病(CKD)の特徴

糸球体濾過率(GFR)が60 mL/分/1.73m²未満が3ヶ月以上続く場合、慢性腎臓病(CKD)と診断されます。
腎臓のろ過機能が低下すると、老廃物が体内に蓄積し、さまざまな合併症が発生します。

尿中のタンパク質や血液が検出されることや、腎臓の形態異常が確認される場合も慢性腎臓病(CKD)の診断に該当します。

慢性腎臓病(CKD)の主な原因

慢性腎臓病(CKD)の原因となる疾患は多岐にわたりますが、以下が主な原因です。

糖尿病:
糖尿病性腎症は、糖尿病患者において長期間高血糖が続くことで腎臓に負担がかかり、慢性腎臓病(CKD)の主な原因の一つとなっています。

高血圧:
高血圧は腎臓の血管を傷つけ、腎機能を低下させます。また、慢性腎臓病(CKD)は高血圧を悪化させることもあります。

糸球体腎炎:
糸球体の炎症や損傷により、腎機能が低下します。急性腎炎や慢性腎炎が慢性腎臓病(CKD)の原因となります。

多発性嚢胞腎(PKD):
遺伝性疾患で、腎臓に嚢胞が形成されることにより腎機能が低下します。

その他の要因:
腎結石、尿路閉塞、膠原病(例: ループス腎炎)や薬剤(例: 鎮痛剤の長期使用)も慢性腎臓病(CKD)の原因となることがあります。

慢性腎臓病(CKD)の症状
慢性腎臓病(CKD)の初期段階では自覚症状がほとんどない場合が多いですが、病気が進行すると以下のような症状が現れます。
疲労感: 腎臓が十分な老廃物を排出できなくなり、毒素が体内に蓄積するため、倦怠感が生じます。
浮腫(むくみ): 体内に余分な水分がたまり、足や顔がむくむことがあります。
頻尿または尿量の減少: 特に夜間に頻繁にトイレに行く(夜間頻尿)ことや、腎機能の低下によって尿量が減ることがあります。
食欲不振、吐き気: 体内の毒素が増加すると、消化器症状が現れることがあります。
かゆみや皮膚の変色: 老廃物が体内に蓄積し、皮膚に影響を及ぼすことがあります。

慢性腎臓病(CKD)の診断
慢性腎臓病(CKD)は、以下の方法で診断されます。

血液検査:
血清クレアチニン値や血中尿素窒素(BUN)を測定し、腎機能を評価します。
これらの数値をもとに糸球体濾過率(GFR)を計算し、腎臓の機能を判断します。

尿検査:
尿中のタンパク質(アルブミン)や血液が検出されるかどうかを調べ、腎臓の損傷の程度を確認します。

画像検査:
腎臓の超音波検査やCTスキャンで、腎臓の構造的な異常(例: 嚢胞、腫瘍)を確認します。

慢性腎臓病(CKD)の治療
慢性腎臓病(CKD)の治療は、腎機能の低下を遅らせ、合併症を予防することを目的とします。治療には、以下のようなアプローチが取られます。

原因疾患の治療:
糖尿病や高血圧が慢性腎臓病(CKD)の原因である場合、血糖値や血圧をコントロールする治療が行われます。

食事療法:
塩分、タンパク質、カリウム、リンの摂取を制限する食事療法が推奨されます。腎臓に負担をかけないよう、バランスの取れた食事を行います。

薬物療法:
血圧の管理: ARBやACE阻害薬などの薬が、腎機能を保護するために使用されます。
SGLT2阻害薬:腎予後の改善と心血管イベント発症抑制が期待されます。
MR拮抗薬:2型糖尿病を合併する慢性腎臓病に適応があります。
尿酸降下薬:高尿酸血症がある場合は、尿酸値を下げる薬が使われることもあります。

透析や腎移植:
慢性腎臓病(CKD)が進行して末期腎不全に至ると、透析や腎移植が必要になることがあります。

慢性腎臓病(CKD)の予防と管理
定期的な検査: 腎機能を評価するために、定期的な血液検査や尿検査が推奨されます。
生活習慣の改善: 健康的な食事、適度な運動、禁煙、飲酒の制限などが慢性腎臓病(CKD)の進行を防ぐために重要です。

結論
慢性腎臓病(CKD)は進行性の病気であり、早期発見と適切な管理が重要です。慢性腎臓病(CKD)の原因疾患の治療や食事療法、薬物療法を組み合わせ、腎機能の低下を遅らせることが目標です。

参考:「CKD診療ガイド2024」日本腎臓学会(東京医学社)

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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック

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