健康・医学

糖尿病②~糖尿病の新しい薬について

糖尿病の治療において、新しい薬が次々と開発されています。ここでは、最近注目されている糖尿病治療薬のいくつかを簡単に説明します。主に2型糖尿病の治療に使われるものが多いです。

  1. SGLT2阻害薬
    SGLT2阻害薬は、腎臓が血液中の余分な糖を尿として排出するのを助ける薬です。これにより、血糖値を下げるだけでなく、体重を減らす効果もあります。また、心臓や腎臓の保護効果も報告されているため、特に心臓や腎臓に問題がある糖尿病患者に推奨されることが増えています。

代表的な薬:
エンパグリフロジン(ジャディアンス)
ダパグリフロジン(フォシーガ)
イプラグリフロジン(スーグラ)
トホグリフロジン(デベルザ)
ルセオグリフロジン(ルセフィ)
カナグリフロジン(カナグル)

  1. GLP-1受容体作動薬
    GLP-1受容体作動薬は、腸から分泌されるホルモンGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)に似た働きをする薬です。この薬は、インスリンの分泌を促進し、食後の血糖値の上昇を抑えるだけでなく、食欲を抑えたり体重を減らす効果もあります。さらに、心血管のリスクを減らす効果も示されています。

代表的な薬:
セマグルチド(オゼンピック、リベルサス)
デュラグルチド(トルリシティ)
リラグルチド(ビクトーザ)

  1. DPP-4阻害薬
    DPP-4阻害薬は、インクレチンと呼ばれるホルモンが体内で長く作用するようにする薬です。インクレチンはインスリンの分泌を助け、血糖値をコントロールする役割を持っています。副作用が比較的少なく、他の薬との併用もしやすいため、幅広い患者に使われています。

代表的な薬:
シタグリプチンリン(グラクティブ、ジャヌビア)
アログリプチン(ネシーナ)
リナグリプチン(トラゼンタ)
テネリグリプチン(テネリア)
ビルダグリプチン(エクア)

  1. GIP/GLP-1受容体作動薬
    最近登場した新しい薬には、GIP(胃抑制ポリペプチド)とGLP-1という2種類のホルモンの働きを一緒に利用するものがあります。この薬は、血糖値のコントロールだけでなく、体重減少効果も大きいことが特徴です。

代表的な薬: テルゼパチド(マンジャロ)

  1. バイオテクノロジーを活用した治療
    新たな糖尿病治療法として、バイオテクノロジーを活用したものも注目されています。例えば、人工膵臓やインスリンポンプの進化により、インスリンの分泌を自動的に調整するデバイスが登場しています。これにより、インスリンの投与をより正確に行えるようになり、血糖値のコントロールが大幅に向上します。

まとめ
糖尿病の新しい治療薬は、血糖値のコントロールだけでなく、心臓や腎臓の保護、体重管理にも効果があるものが増えています。これにより、糖尿病患者の生活の質が向上し、合併症のリスクを減らすことが期待されています。

参考:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂)

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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック

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