健康・医学

心不全治療における SGLT2阻害薬のご案内


SGLT2阻害薬とは?

SGLT2阻害薬は、もともと「糖尿病の薬」として開発されたお薬ですが、
近年の研究で 心不全の症状を軽くし、入院や死亡のリスクを減らす ことがわかり、
糖尿病のない方の心不全にも使用されるようになりました。

代表的なお薬

  • エンパグリフロジン(ジャディアンス)
  • ダパグリフロジン(フォシーガ) など

どうして心不全に効くの?

SGLT2阻害薬には、次のような心臓にやさしい働きがあります。

体の余分な水分を自然に減らす

軽い利尿作用(尿を出しやすくする働き)があり、
心臓の負担(むくみ・息切れ)を和らげます。

心臓を守る“省エネ効果”

心臓のエネルギー代謝を改善し、
弱った心臓が動きやすくなると考えられています。

腎臓を守る働き

腎臓の機能を保つことで、
心臓と腎臓の両方を長く守る効果が期待できます。


どんな効果が期待できるの?

大規模な研究で、以下の効果が確認されています。

  • 心不全による入院リスクを減らす
  • 心臓関連の死亡リスクを減らす
  • 息切れやむくみなどの症状を改善
  • 腎臓の悪化を防ぐ

糖尿病がある人も、ない人にも効果があることがわかっています。


実際にどんな人が使うの?

次のような心不全の方に広く使われます。

  • 左心室駆出率が低い心不全(HFrEF)の方
  • 駆出率が保たれた心不全(HFpEF)の方
  • 糖尿病の有無にかかわらず使用可能
  • 腎機能がある程度保たれている方(医師が判断します)

飲み方は?

  • 1日1回の服用
  • 食事と関係なく飲めます
  • 他の心不全治療薬(β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、利尿薬など)と一緒に使われます

注意していただきたいこと

脱水に注意

尿が増えやすいため、

  • のどが渇く
  • めまい
  • 立ちくらみ
    がある場合は医師にご相談ください。

特に発熱・下痢・嘔吐時は一時的に中止が必要なことがあります。

尿路感染症・カンジダ症

排尿時の違和感・かゆみ・痛みがあればすぐにご相談ください。

腎機能が低い方は要注意

医師が定期的にチェックします。

低血糖はほとんど起きません

ただし、糖尿病の薬を併用中の方は注意が必要です。


よくある質問(Q&A)

Q. 糖尿病がないのに使って大丈夫?

はい。心不全に対しての有用性は糖尿病の有無に関わらず確認されています。

Q. やめるとどうなりますか?

症状が悪化したり、再入院のリスクが高くなることがあります。
自己判断の中止は避けてください。

Q. すぐに効果が出ますか?

利尿作用は早めに感じやすいですが、
心不全の悪化を防ぐ“長期的な効果”が特に重要です。


まとめ

  • SGLT2阻害薬は 心臓と腎臓を守る新しいタイプの薬
  • 心不全による入院・死亡を減らすことが証明
  • 糖尿病の有無に関係なく使える
  • 1日1回で続けやすい
  • 脱水・尿路感染に注意しつつ、定期的に受診を

ご不安なことは、いつでもご相談ください

症状や生活スタイルに合わせて、最適な治療をご提案します。
気になることがあれば、お気軽にスタッフまでお声かけください。

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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科 

楽な胃カメラ・大腸内視鏡の加地内科クリニック

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