帯状疱疹(ヘルペス・ゾスター)は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こります。ウイルスは一度水痘(水ぼうそう)にかかると神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して帯状疱疹を引き起こします。
帯状疱疹になりやすい「基礎疾患・背景疾患」
以下のような疾患や状態があると、帯状疱疹の発症リスクが高まります。
■ 1. 糖尿病(特に高血糖が持続する場合)
免疫機能の低下によりウイルスの再活性化が起きやすい。
帯状疱疹後神経痛(PHN)も長引く傾向があります。
■ 2. 悪性腫瘍(がん)
とくに血液のがん(白血病・悪性リンパ腫など)ではリスクが顕著に上昇。
抗がん剤や放射線治療による免疫抑制も関与。
■ 3. 自己免疫疾患
例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、潰瘍性大腸炎など。
免疫抑制薬(ステロイド、免疫調整薬)を使用しているとさらにリスクが高まる。
■ 4. 慢性腎疾患(CKD)
免疫力の低下だけでなく、透析中の患者さんでは特に注意が必要。
■ 5. HIV感染・AIDS
ウイルス感染による免疫機能の深刻な低下が背景にあります。
■ 6. 臓器移植後
拒絶反応予防のための免疫抑制薬使用が必須で、帯状疱疹リスクが非常に高い。
■ 7. その他
長期ステロイド療法
高血圧症
ストレスや極端な睡眠不足(間接的要因)
高齢(特に50歳以上)も「加齢に伴う免疫力低下」として最も重要なリスク因子の一つ。
補足:ワクチンによる予防
帯状疱疹ワクチンは、50歳以上またはリスクのある基礎疾患を持つ方に接種が推奨されています。免疫抑制状態の方では、生ワクチンは禁忌になりますが、不活化ワクチン(シングリックス)であれば接種可能です。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科 加地内科クリニック