糖尿病の神経障害は、糖尿病が原因で体の神経にダメージが生じることを指します。さらに、手や足、さらには内臓の動きまで影響を受けることがあります。
- なぜ神経がダメージを受けるの?
糖尿病になると、血糖値が高くなります。血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つき、神経に十分な酸素や栄養が行き届かなくなります。これが原因で、神経がうまく働かなくなってしまいます。 - どんな症状が出るの?
神経障害には、いくつかの種類や症状がありますが、主に次のようなものがあります。
① 手や足がしびれる・痛む(異常感覚)
糖尿病の神経障害では、まず手や足、特に足の裏や指先からしびれや痛みが出ることが多いです。ピリピリした感覚や「焼けるような」痛みが感じられることもあります。
② 感覚が鈍くなる(感覚障害)
逆に、感覚が鈍くなることもあります。たとえば、何かにぶつかっても痛みを感じにくくなったり、熱いものを触っても気づかなかったりすることがあります。
③ 内臓の調子が悪くなる(自律神経障害)
糖尿病の神経障害が進むと、胃や腸の働きが悪くなり、消化不良や便秘になることがあります。また、トイレに行くタイミングがわかりにくくなったり(排尿障害)、男性では勃起不全(ED)といった問題も出ることがあります。
④ 体が動かしにくくなる (運動神経障害)
筋力低下や足の変形: 手や足の筋肉が弱くなり、力が入りにくくなることがあります。特に足の筋肉が弱くなることで足の形が変形し、歩きにくくなることもあります。
- なぜ糖尿病の神経障害が怖いの?
・ケガに気づかないことがある: しびれや感覚の鈍さがあると、ケガをしても気づかずに悪化させてしまうことがあります。特に足のケガは、治りにくく感染してしまい、最悪の場合、足の一部を切断することもあります。
・生活に大きな影響が出る: しびれや痛みで歩くのが辛くなったり、消化不良や排尿障害などで日常生活に支障が出たりします。
- どうやって防げるの?
糖尿病の神経障害は、一度進行すると元に戻るのが難しいため、予防がとても大事です。以下のことが予防に役立ちます。
① 血糖値をコントロールする
血糖値が高くならないように、食事や運動、薬を使って管理することが最も重要です。
② 足を大事にする(フットケア)
毎日、自分の足をチェックして、傷や異常がないか確認することが大切です。靴は、足に合うものを選び、ケガをしないように気をつけましょう。
③ 定期的に医師に相談する
神経障害は進行がゆっくりなことが多いので、定期的に診察を受けることで早めに対応することができます。
まとめると、糖尿病性神経障害は、手足がしびれたり感覚が鈍くなったりする恐ろしい合併症です。血糖値の管理と日常のケアが、進行を防ぐ鍵となります。
参考:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂)
-------------------
豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック