最近、過敏性腸症候群の原因として、小腸の細菌の異常繁殖が注目されています。小腸の細菌の異常繁殖はSIBO(小腸内細菌増殖症、シーボ)といわれ、過敏性腸症候群の80%がSIBOと報告されています。
SIBOの症状では、頑固な下痢、便秘、腹痛、おなら、腹鳴が続き、少しの食事でも、ガスがたまって、お腹が張るようになります。一般に腸活では、水様性食物繊維、発酵食品が推奨されますが、これらの食事でかえってお腹の調子が悪くなる様な方は、SIBOが疑わしいといえます。SIBOでは、善玉菌をとっても、かえって具合悪くなります。
SIBOでは、小腸に慢性的な炎症が起こるので、免疫力が低下して、ウイルスなどの感染症にかかりやすくなり、アレルギー症状、うつなどの精神症状、にきび、肌荒れ、むずむず症候群、肥満などの原因にもなります。
SIBOになる原因としては、虫垂や胆嚢などの手術、ストレスや間食、抗生物質の乱用、胃薬による胃酸の減少などです。これらの原因を持っている方で、過敏性腸症候群や逆流性食道炎がなかなかよくならない場合は、SIBOを疑ってもいいでしょう。
SIBOの治療は、まず、食事療法です。細菌の好む食品を避けることです。低FODMAP食を基本とします(3週間以上)。低FODMAP食で改善しない場合は、小腸内の細菌をいったんリセットするために抗生剤(腸で吸収されないもの)を検討します(保険適応はありません)。
〇低FODMAP食 ×高FODMAP食
オリゴ糖 みそ、豆乳、米、 大豆、納豆、パン、うどん、パスタ
ニンジン、ジャガイモ、バナナ タマネギ、ニンニク、スイカ、モモ
二糖類 バター 牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム
ハードチーズ ソフトチーズ
単糖類 トマト、バナナ、レモン アスパラガス、リンゴ、スイカ
砂糖 ハチミツ
ポリオール トマト、バナナ、ブドウ カリフラワー、キノコ
キウイ、レモン リンゴ、モモ、ナシ、スイカ
参考:中島淳他「人生を変える腸内細菌の育て方完全ガイド」(文響社)
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豊中市上野東 漢方内科・消化器内科の加地内科クリニック