糖尿病性大血管障害は、糖尿病が原因で心臓や脳、足などの大きな血管にダメージが起こる病気です。糖尿病が長く続くと、血糖値が高い状態が血管にダメージを与えて、動脈硬化という血管が硬くなり、詰まりやすくなる病気が進行します。これが原因で、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気が起こってきます。
- 糖尿病性大血管障害が引き起こす病気
「大血管」とは、心臓から体中に血液を送るための大きな血管のことです。
糖尿病性大血管障害によって、次のような病気が引き起こされることがあります。
① 心筋梗塞
心臓に血液を送る血管(冠動脈)が詰まると、心臓に血液が届かなくなり、心筋梗塞が起こります。これによって胸が強く痛むほか、最悪の場合、命に関わることもあります。
② 脳梗塞
脳の血管が詰まると、脳に血液が届かなくなり、脳梗塞が起こります。脳梗塞が起こると、手足が動かなくなったり、言葉が話せなくなったり、意識を失うこともあります。
③ 末梢動脈疾患(足の血管の病気)
足や手に血液を運ぶ血管が詰まると、足が冷たくなったり、歩くと痛みが出たりします。これを末梢動脈疾患といいます。進行すると、足に傷ができやすくなり、傷が治りにくくなったり、最悪の場合、足を切断する必要が出ることもあります。
- どうして糖尿病で血管がダメージを受けるのか?
糖尿病になると、血糖値が高くなります。この高血糖状態が続くと、血管の内側が傷ついてしまいます。また、糖尿病の人は、高血圧や脂質異常になりやすく、これがさらに動脈硬化を進めます。動脈硬化が進むと、血管の壁が厚く硬くなり、血液が通りにくくなるのです。 - 糖尿病性大血管障害の予防法
糖尿病性大血管障害を防ぐためには、次のことがとても大切です。
① 血糖値の管理
血糖値が高い状態を続けないようにすることが、血管へのダメージを防ぐ基本です。食事、運動、薬を使って血糖値をコントロールすることが重要です。
② 血圧とコレステロールの管理
糖尿病の人は、高血圧やコレステロールの異常もリスクを高めます。これらを適切に管理することで、動脈硬化を予防できます。
③ 禁煙と運動
喫煙は血管をさらに傷つけるため、禁煙は非常に重要です。また、定期的な運動は血糖値や血圧を安定させ、血管を健康に保つのに役立ちます。
まとめ
糖尿病性大血管障害は、糖尿病が原因で大きな血管がダメージを受けることで、心筋梗塞や脳梗塞、足の病気など、命に関わる病気を引き起こす怖い合併症です。これを防ぐためには、血糖値の管理、血圧やコレステロールの管理、禁煙、そして適度な運動が大切です。
参考:日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂)
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック