健康・医学

腎臓病④~慢性腎臓病(CKD)に合併する糖尿病の治療の重要性

慢性腎臓病(CKD)に糖尿病が合併する場合、その治療は非常に重要です。糖尿病は慢性腎臓病(CKD)の主な原因の一つであり、糖尿病が原因で腎臓が傷つく「糖尿病性腎症」が進行すると、腎臓の機能が悪化します。糖尿病を適切に治療することで、CKDの進行を遅らせ、心臓や血管の病気のリスクを減らすことができます。以下に、糖尿病治療がなぜ重要かを説明します。

1.慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせる
糖尿病があると、血糖値が高くなり、腎臓の血管が傷つきます。これが腎臓の機能を低下させ、慢性腎臓病(CKD)を進行させる主な原因です。血糖値を適切に管理することで、腎臓のダメージを防ぎ、慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせることができます。

治療法: 血糖を下げる薬を使い、血糖値をコントロールします。

  1. 心臓病や脳卒中のリスクを減らす

慢性腎臓病(CKDと糖尿病があると、心臓病や脳卒中のリスクが高くなります。糖尿病は動脈硬化を引き起こしやすく、これが心血管疾患の原因となります。

治療法: 血糖値だけでなく、高血圧やコレステロールも管理することで、心臓病や脳卒中のリスクを減らします。スタチン(コレステロールを下げる薬)や降圧薬も使います。

  1. 腎臓を守る薬の使用
    糖尿病治療薬の中には、腎臓の機能を守る効果を持つものがあります。

SGLT2阻害薬は、血糖を下げるだけでなく、腎臓の負担を減らす効果があります。
GLP-1受容体作動薬は、血糖を下げるだけでなく、体重減少や心血管リスクの低減にも役立ち、腎臓に優しい薬です。

  1. 血圧管理との連携
    糖尿病は高血圧を悪化させ、腎臓に負担をかけます。血圧を適切に管理することで、腎機能の低下を遅らせることができます。

治療法: ACE阻害薬やARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)は、血圧を下げながら腎臓を保護する効果があります。

  1. 生活習慣の改善
    食事療法: 炭水化物の量をコントロールし、塩分やタンパク質、カリウム、リンの摂取量も管理します。これにより、血糖値と腎臓への負担を軽減します。
    運動: 定期的な運動は血糖値を下げ、インスリンの働きを良くします。適度な運動は腎臓にも良い影響を与えます。
    禁煙: 喫煙は動脈硬化を進め、心臓や血管の病気を引き起こすため、禁煙が強く推奨されます。
  2. 合併症の予防
    糖尿病による腎臓のダメージ(糖尿病性腎症)は、早期に血糖や血圧をしっかり管理することで予防できます。また、糖尿病患者は心血管疾患のリスクが高いため、血糖、血圧、コレステロールを総合的に管理することが重要です。

結論
慢性腎臓病(CKD)に糖尿病が合併すると、腎臓や心臓へのダメージが進行しやすいため、早期の治療が重要です。血糖値と血圧を適切に管理し、生活習慣の改善を行うことで、慢性腎臓病(CKD)の進行を遅らせ、心血管リスクを減らすことができます。

参考:「CKD診療ガイド2024」日本腎臓学会(東京医学社)

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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック

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