健康・医学

息切れがあるときには?~診断と治療について


息切れとは?

「ちょっと動いただけで息が上がる」「階段で苦しくなる」
こうした症状は、身体から「どこかに負担がかかっているよ」というサインです。
原因はさまざまで、心臓・肺・血液・筋力などが関係します。


息切れの主な原因

心臓の病気

  • 心不全
  • 狭心症・心筋梗塞
  • 不整脈

心臓がうまく血液を送り出せないと、少しの動きでも息切れが出ます。

肺の病気

  • 喘息・COPD(肺気腫)
  • 肺炎
  • 間質性肺炎
  • 肺塞栓(血栓が肺の血管につまる病気)

肺が十分に空気を取り込めないと、呼吸が苦しくなります。

貧血

血液中の酸素を運ぶ力が弱くなり、息切れが起きます。

体力・筋力の低下

高齢の方や、長期間動けなかった後に多い原因です。

甲状腺の病気・不安障害など

内分泌の病気や過換気などでも息苦しさが生じることがあります。


どんな検査をするの?

息切れの原因を明らかにするため、次のような検査を組み合わせて診断します。

問診・身体診察

症状の出るタイミングや既往歴、生活習慣を詳しく伺います。

心電図(ECG)

不整脈や心筋の負担を確認します。

胸部レントゲン

心臓の大きさ、肺の状態、肺炎の有無などを評価します。

血液検査

  • 貧血の有無
  • 心不全マーカー(BNP/NT-proBNP)
  • 炎症・感染のチェック
  • 甲状腺ホルモンなど

心エコー(超音波)

心臓の動き、弁膜症の有無、心筋の状態を詳しく調べます。

呼吸機能検査

肺の働きを確認し、喘息やCOPDの診断に役立ちます。

場合によって行う検査

  • CT検査
  • 運動負荷試験
  • 造影検査

必要に応じて医師が判断します。


息切れの治療について

原因に合わせて治療方法は異なります。


① 心臓が原因の場合(心不全・不整脈など)

  • 利尿薬:体の余分な水分を減らし、心臓の負担を軽くする
  • SGLT2阻害薬:近年、心不全治療で重要な薬
  • β遮断薬/ACE阻害薬/ARB/ARNI:心臓を守る基本薬
  • カテーテル治療(狭心症の場合)
  • ペースメーカー(重い不整脈の場合)

② 肺が原因の場合

  • 吸入薬(喘息・COPD)
    • 気管支を広げ、呼吸を楽にします
  • 抗生物質(肺炎)
  • ステロイド治療(間質性肺炎など)
  • 血栓溶解薬/抗凝固薬(肺塞栓)

③ 貧血が原因の場合

  • 鉄剤の内服・注射
  • 胃腸の出血のチェック
  • 栄養指導

④ 体力低下が原因の場合

  • リハビリテーション
  • 軽い運動からの再開
  • 生活習慣の見直し

⑤ その他の原因の場合

  • 甲状腺の治療
  • 不安感・過換気のコントロール
  • 生活指導

日常生活で気をつけたいポイント

急な運動は避け、少しずつ活動量を増やす

階段・坂道は無理せずゆっくり。

体重の変化に注意

  • むくみ・急な体重増加は心不全のサイン

水分バランスを整える

  • 心不全の方は医師の指示に沿って調整
  • 発熱・嘔吐・下痢の際は受診を

禁煙を強くおすすめします

肺と心臓への負担が大きく減ります。

薬の自己中止は絶対にしない

症状悪化や入院につながることがあります。


こんな症状があれば受診してください

  • 横になると苦しい
  • 夜間に息苦しくて目が覚める
  • 急に息が上がる
  • 歩くと胸が痛む
  • 脈がとても速い/不規則
  • むくみが強くなる

早めの受診が、重症化を防ぎます。


まとめ

  • 息切れは、心臓・肺・血液・体力などさまざまな原因で起こる
  • 検査で原因を明らかにし、適切な治療で改善が期待できます
  • 自己判断せず、気になる症状は早めにご相談を
  • 正しい治療で「息切れのしにくい生活」を取り戻せます

ご相談ください

息切れは「年のせい」と思われがちですが、
治療で良くなる原因が多くあります。
気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科 

楽な胃カメラ・大腸内視鏡の加地内科クリニック

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