手の腱鞘炎でよくある症状の一つがばね指です。手のひらの指の付け根の腱に生じる腱鞘炎が「ばね指」です。親指、中指、薬指で発症するケースが多いです。「ばね現象」という、指を深く曲げると引っ掛かって伸びなくなり、強く力を入れて伸ばすと指が痛みを伴いつつばねのように急に伸びる現象が、特徴的な症状として見られます。
また、最近問題になっているのが、スマホの使い過ぎで起こるドケルバン病(いわゆるスマホ親指)といわれる手首の親指側にある腱に生じる腱鞘炎です。親指を伸ばした時や手を広げた時、モノを強く握った時などに痛みを感じます。また、炎症が強いケースでは腫れがひどくなることがあります。
手の腱鞘炎は、もともと、ピアニストなど、手を酷使する職業の人に多かった病気ですが、最近ではスマホやPCの使い過ぎで引き起こされることが多くなりました。また、更年期女性や糖尿病の方にも起こりやすいと言われています。
手の腱鞘炎の治療法としては、抗炎症剤の内服・塗布などが一般的ですが、漢方薬も有効なことがあるため、当院では漢方薬の併用をお勧めしています。腱鞘炎の部位(滑膜)には、炎症で血流が不足し、浮腫をおこしており、漢方的には「血」と「水」の滞った状態といえます。そのため、「血」と「水」の流れをよくすることで腱の滑膜の動きが改善され、症状が緩和されます。抗炎症剤の長期使用の場合、逆に血流やリンパの流れを止めてしまう恐れがあります。抗炎症剤でなかなか効果の出ない腱鞘炎には漢方薬がおすすめです。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック