最近、高齢の方の健康寿命を延ばすために「フレイル」が注目されています。
フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態です。フレイルの診断基準は、
1.体重減少 :1年間に4.5kg以上
2.疲れやすい
3.筋力低下:握力の低下
4.活動量低下
5.歩行速度低下
のうち、3項目以上あてはまる場合にフレイルと診断されます。フレイルを放置すると要介護の状態に移行してしまいますので、リハビリを積極的に行い、外出を促すなど生活機能の改善のためのかかわりが大切です。
フレイルは、老化に伴う筋力低下(サルコペニア)、うつや認知症、独居や閉じこもりといった、身体的・精神的・社会的な問題が原因となるので、治療では、総合的・全人的な医療が必要です。漢方による治療は、心と体のバランスを大切にしますので、フレイルの体質改善のためにはうってつけといえましょう。
老化に伴う筋力低下は、腎虚という体質がかかわりますので、漢方では牛車腎気丸や八味地黄丸といった薬をよく用います。また、筋萎縮には肝血虚や脾気虚といった体質がかかわりますので、人参養栄湯や六君子湯もよく用います。ご高齢になると気や血などが不足しがちなので、体質によって気や血などを補う薬を組み合わせて治療していきます。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科の加地内科クリニック