冬になると
「腰が冷えて痛む」
「朝、腰がこわばって動きにくい」
「寒くなると毎年腰痛が悪化する」
といったご相談が増えてきます。
冬の腰痛の大きな原因は、寒さによる血流低下と筋肉のこわばりです。
特に高齢の方や、疲れがたまりやすい方では、腰の痛みが長引きやすくなります。
◆ 痛み止めだけに頼っていませんか?
腰が痛いと、まず痛み止め(鎮痛薬)を使われる方も多いと思います。
痛み止めは、つらい痛みを一時的に和らげる点ではとても大切なお薬です。
ただし、漢方的な視点では
「痛み止めは体を冷やしやすい」
と考えられることがあります。
- 痛みを抑えても、冷えや血流の悪さは残る
- 胃腸が弱り、体力が落ちやすくなる
- 結果として、冬の腰痛が繰り返されやすくなる
といったことが起こる場合もあります。
※もちろん、痛み止めが必要な場面もあります。
大切なのは 「痛み止めだけに頼りすぎないこと」 です。
◆ 漢方では「冷え」と「体力低下」を同時に整えます
漢方医学では、腰は「腎(じん)」と深く関係すると考えます。
寒さ・加齢・疲労によって腎の働きが弱ると、腰の痛みやだるさが出やすくなります。
そのため冬の腰痛では、
●体を温める
● 血の巡りを良くする
● 体力を補う
ことを同時に目指します。
◆ 冬の腰痛におすすめの温め漢方
■ 八味地黄丸(はちみじおうがん)
冷えが強い方・高齢者の腰痛に
- 腰や足元が冷える
- 夜間のトイレが多い
- 腰がだるく力が入りにくい
といった方に使われます。
体を内側から温め、加齢に伴う腰の不調を改善します。
■ 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
腰痛+しびれ・神経痛がある方に
八味地黄丸をベースに、
しびれや痛みを和らげる生薬を加えた処方です。
- 腰から足にかけてのしびれ
- 冷えると痛みが強くなる
- 神経痛を伴う腰痛
に用いられます。
■ 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
疲れやすさ・体力低下が背景にある腰痛に
- 疲れが取れにくい
- 風邪をひきやすい
- 腰痛がなかなか治らない
といった方に向いています。
体を温めながら、気血を補い、冷えと疲労が重なった腰痛を整えます。
フレイル気味の方にもよく使われます。
■ 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)
急な筋肉のけいれん・こむら返りに
- 急な腰のつっぱり
- こむら返り
- 筋肉のけいれん
が起きたときに、頓用で使われることがあります。
◆ 漢方+生活習慣で「冷えない体」へ
漢方の効果を高めるためには、日常生活での温めも重要です。
- 冷たい飲み物を控え、温かいお茶を
- 腰・お腹・足首を冷やさない
- 入浴でしっかり体を温める
- 無理のないストレッチで血流改善
こうした習慣が、冬の腰痛予防につながります。
◆ 最後に
冬の腰痛は、「痛み止めで抑えるだけ」では根本的な改善が難しいことがあります。
体を温め、体力を補う漢方を上手に取り入れることで、
腰痛だけでなく、冷えや疲れやすさの改善も期待できます。
腰の痛みが続く方、
痛み止めが手放せない方は、
どうぞお気軽にご相談ください。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科
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