冬に流行しやすいノロウイルス感染症。
突然の嘔吐や下痢により、短期間で体力と水分を大きく消耗します。
特に高齢者や基礎疾患のある方では、
「食べられない」「飲めない」状態が続くことで、回復が遅れることがあります。
ノロウイルス感染症とは?
ノロウイルスは感染力が非常に強く、
- 突然の吐き気・嘔吐
- 水様性の下痢
- 腹痛
- 微熱・全身倦怠感
が主な症状です。
多くは1~3日で自然に軽快しますが、脱水と体力低下に注意が必要です。
治療の基本方針
ノロウイルスに直接効く薬はありません。
治療の中心は対症療法です。
- 水分補給(少量ずつ頻回に)
- 吐き気止め・整腸剤(必要に応じて)
- 安静と体力の温存
ここに、高カロリーゼリー・漢方・お茶・食事を組み合わせることで、回復を助けます。
発症初期に役立つ「高カロリーゼリー」
● 食べられない・飲めない時の強い味方
嘔吐や食欲不振が強い初期には、
- おかゆも食べられない
- 水分だけでは体力が落ちる
という状況がよくあります。
そのような時に、高カロリーゼリーは非常に有用です。
● 高カロリーゼリーの利点
- 少量でエネルギー補給ができる
- のど越しがよく、嘔吐時でも摂取しやすい
- 水分・糖分・電解質を同時に補給できる
● 使い方のポイント
- 一度にたくさん摂らず、少量ずつ
- 冷やしすぎない(常温〜やや冷たい程度)
- 吐き気が落ち着いてきたら、通常の食事へ徐々に移行
高齢の方や痩せている方では、初期から積極的に検討すると回復が早まります。
漢方による体調サポート
※体質や症状に応じて使い分けます。
● 嘔吐・下痢が強い時
- 五苓散
→ 体内の水分バランスを整え、
吐き気・下痢・口渇を和らげます。
● 食欲不振・胃もたれが残る回復期
- 六君子湯
→ 弱った胃腸を立て直し、食欲回復を助けます。
● 高齢者・体力低下が目立つ場合
- 補中益気湯
→ 消耗した体力を補い、回復を後押しします。
胃腸にやさしいお茶の選び方
- 番茶・ほうじ茶
刺激が少なく、胃腸にやさしい - 薄めの生姜湯
体を温め、吐き気を和らげる - 梅干し湯(薄め)
食欲不振時の水分補給に
※カフェインの多い飲み物は控えましょう。
回復を助ける食事の進め方
● 急性期
- 無理に食べない
- 高カロリーゼリー・経口補水液を中心に
● 回復期
- おかゆ
- 豆腐、白身魚
- かぼちゃ、にんじん
脂っこいもの・乳製品・刺激物は控えめに。
こんな時は早めに受診を
- 水分やゼリーもほとんど取れない
- 嘔吐・下痢が激しく続く
- 尿が出ない、ふらつく
- 高齢者・持病のある方
まとめ
- 冬はノロウイルスが流行しやすい
- 治療の基本は水分補給と安静
- 初期には高カロリーゼリーが有効
- 漢方・お茶・食事を上手に組み合わせて回復をサポート
「食べられないから仕方ない」と我慢せず、
つらい時は早めに医療機関へご相談ください。
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豊中市上野東 消化器内科・漢方内科
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