― 体を温め、巡りを整える食養生 ―
冬は寒さによる血管収縮や自律神経の乱れにより、血圧が上がりやすい季節です。特に朝晩の冷え込みや、暖房の効いた室内外の温度差は、血圧変動を大きくします。
東洋医学では、冬は「腎」を養い、「冷え」を防ぎ、「血の巡り」を整えることが重要とされます。今回は、冬の血圧上昇対策として日常に取り入れやすい薬膳の考え方をご紹介します。
冬に血圧が上がりやすい理由(東洋医学的視点)
- 寒邪(かんじゃ)により血管が収縮し、巡りが滞りやすい
- 冷えで陽気(体を温める力)が不足しやすい
- 加齢や疲労で「腎」の働きが弱ると、水分代謝や血圧調整が不安定に
血圧安定のための薬膳の基本方針
- 体を内側から温める
- 血流を促し、巡りを良くする
- 塩分過多を避け、余分な水分をさばく
冬の血圧ケアにおすすめの食材
① 体を温める食材
- 生姜・ねぎ・にら・シナモン
→ 末梢血管を広げ、冷えによる血圧上昇を緩和します。
② 血の巡りを良くする食材
- 玉ねぎ・黒酢・青魚(いわし、さば)
→ 血流を改善し、動脈の緊張を和らげます。
③ 腎を補い、血圧調整を助ける食材
- 黒豆・黒ごま・山芋・くるみ
→ 冬に弱りやすい腎を補い、体調の土台を整えます。
④ 余分な水分を調整する食材
- 小豆・はとむぎ・大根
→ むくみや血圧変動の原因となる水分停滞を改善します。
おすすめ簡単薬膳メニュー
- 生姜入り野菜たっぷり味噌汁
- 黒豆と根菜の温煮
- 青魚と玉ねぎのさっぱり煮
- 山芋とほうれん草の温かい和え物
※味付けは薄味を基本にし、だしや香味野菜で風味を補いましょう。
食事以外で意識したいポイント
- 朝は白湯や温かいお茶からスタート
- 首・手首・足首を冷やさない
- 急な温度変化を避ける(脱衣所の暖房など)
まとめ
冬の血圧上昇対策は、「冷えを防ぎ、巡りを整える」ことが鍵です。
薬膳は特別な食事ではなく、日々の食材選びと調理法の工夫から始められます。寒い季節こそ、体をいたわる食養生で、安定した血圧と健やかな冬をお過ごしください。
なお、血圧の上昇が続く場合や、家庭血圧と診察室血圧に差がある場合には、降圧薬の追加や用量調整など、服薬の見直しが必要となることがあります。自己判断はせず、必ず医師の指示を仰いでください。
------------------------
豊中市上野東 消化器内科・漢方内科
楽な胃カメラ・大腸内視鏡の加地内科クリニック